2013年
11月
20日
|
01:00
Europe/Amsterdam

コンセプトSクラス クーペ: “明瞭な官能性”を表現するモダンラグジュアリー

メルセデス・ベンツには、大型のグランドクーペがラインナップのトップに位置するという伝統があります。今回フランクフルト・モーターショー(IAA)で発表するコンセプトSクラス クーペは、メルセデスの次世代モデルの姿を具体的に示すもので、華やかな外観と自信に満ちたスタイルにより「明瞭な官能性」というデザインの基本思想を体現しています。息を呑むような造形と最上級の装備に彩られた4シーターのインテリアは、モダンラグジュアリーの新たな到達点を示すものです。
メルセデス・ベンツ・カーズ営業/マーケティング部門エグゼクティブバイスプレジデントのヨアヒム・シュミットは次のように話しています。「新型Sクラス セダンは市場において熱狂的ともいえる好評を博しており、メルセデス・ベンツの革新的な創造力を象徴する役割を完璧に果たしています。そしてSクラス クーペでは、メルセデスのラインナップの最上位はクーペが占めるという伝統に基づき、デザイナーにはいつも以上に大きな創造力を発揮する余地が与えられ、自動車史上に残る傑作ともいえる作品が誕生しました」
ダイムラーAGデザイン担当バイスプレジデントのゴードン・ワグナーは次のように付言しています。「コンセプトSクラス クーペは伝統とエモーションを融合したものであり、メルセデスのデザインスタイルである“明瞭な官能性”を明確に象徴しています。自信に満ちた完璧なスタイリングと最上級の装備を採用したこのクーペは、真の意味でのデザインアイコンであり、モダンラグジュアリーを代表するクルマといえます」
 デザイン: 最高の魅力を湛えた明瞭な官能性
モダンラグジュアリーを体現する明瞭な官能性 ―― これは担当したデザイナーたちが掲げたテーマであると同時に、メルセデス・ベンツのデザイン思想でもあります。その目標は、シャープな輪郭と滑らかなボディ表面によって技術的先進性を演出しつつ、エモーショナルな魅力を醸し出すことにありました。明瞭な官能性には、伝統、エモーション、先進性といったデザインのコアバリューが反映されます。これはデザインの方向性を導く“星”であり、そのバランスはモデルごとにアレンジされます。メルセデス・ベンツのデザインは現代的なものと前衛的なもの、伝統と革新の間に位置します。各モデルシリーズには与えられた役割とそれぞれの性格があり、これらはデザインのテーマに影響を及ぼします。一方で、メルセデス・ベンツはつねにメルセデス・ベンツとすぐに見分けがつきます。これは、スタイリングに関する新しい動向を取り込みながらも、伝統を生き生きと保つべく、メルセデス独自のスタイリング要素がつまった「遺伝子プール」からヒントを得てデザインしているからです。
ワグナーは次のように話しています。「デザインは崇高であることが大切です。なぜならデザインはブランドのメッセージを発信する最高のアンバサダーだからです。私たちの仕事の中核をなすのは現代的ラグジュアリーの表現としての明瞭な官能性であり、これこそが『知性とエモーションの両極性』という、われわれのブランド フィロソフィーそのものなのです」
 エクステリア: 完璧なプロポーションによる流麗なシルエット
コンセプトSクラス クーペの流麗なシルエットは、明瞭な官能性を現代的に表現したものです。その最大の特徴といえるのが、いかにも後輪駆動モデルらしいプロポーションであり、これはメルセデス独自のドロッピングラインによって強調されています。際立つラインとパワードームを備えた長いボンネット、低くコンパクトにまとまったグリーンハウスと高いベルトライン、力強いホイールアーチと21インチホイール(タイヤサイズ/前:265/35R21、後:295/35R21)、それにリアのワイド感を視覚的に強調したデザインにより、洗練さという点において自動車の最高傑作と呼ぶにふさわしいものとなっています。全長5,050mmのクーペボディは、ホイールベース2,945mm、全幅1,958mm、全高1,409mmとしました。
外側に張り出すように湾曲したボディパネルはコンセプトSクラス クーペの官能性を表現するものです。その彫刻的な外観はクラシックな優雅さを表現していながら、現代的で先進的なデザイン言語とも完全にマッチしています。
サイドビューでは、このクルマのエモーショナルな性格に見合ったドロッピングラインが目を惹きます。これはメルセデスの典型的なプロポーションを強調する、まるで“署名”のような役割を果たしています。また、あえて基本に立ち返り、ラインは基本的なもののみに絞り込みました。これによって時代を超えた明瞭さを表現しています。
さまざまなデザイン要素が創造的に交錯するフロントセクションは、Sクラス クーペの卓越性と強い自信が伝わってくる仕上がりとなっています。その中央を飾るダイモンドグリルはより3次元的なデザインに生まれ変わるとともに進化を遂げ、四角い形状とダーククロームのプレートで構成されています。また、グリル内部にはセンターのスリーポインテッドスターとシングルルーバーを配しています。
人目を惹く“眉”に相当する部分がデイタイムドライビングライトとなっているフルLEDヘッドライトは、自信に満ちた独特のまなざしを形作っています。コンセプトSクラス クーペではこの“眉”を半円形の滑らかな形状とすることでさらに進化させました。ダイアモンドの形をしたヘッドライトとリアコンビネーションランプは、このショーカーの豊富な装備を暗示するものです。
サイドビューは、ドーム形の伸びやかなルーフラインとフレームレスドアによって特徴付けられています。サイドウィンドウを取り囲むエレガントで立体的なクロームのフレームは、Bピラーを省くことですっきりとした印象を与えます。これにより、いかにもメルセデスのクーペらしいスタイリングを手に入れました。まるでピラー(支柱)の延長のように見えるドアミラーのデザインは、コンセプトカーであればこそ許される自由度を活かしたもので、極めてスリムな形状としてエレガントな外観を実現しました。
リアアクスル上方のサイドウォールから突き出た筋肉を想起させる部分は、停車した状態でも軽快さと躍動感を印象づけます。また、サイドウォールの大きく湾曲した面とリアエンドに流れ込む線はドラマチックな“絞り込み効果”をもたらしています。
ボディのリアエンドには力強いショルダー部と明確なキャラクターラインを設け、クルマ全体のエモーショナルな佇まいを強調しています。ナンバープレートをバンパー下部に移設することでトランクリッドは滑らかな形状となり、ここにひときわ目立つスリーポインテッドスターを配置することが可能になりました。これを補完するのが、細部まで入念に仕上げたクロームトリムストライプです。これは、トランクリッドを水平に横切り、リアコンビネーションランプの外側まで連続させることでボディの幅を強調しています。2分割リアコンビネーションランプはその内部にLED2段の水平な列として配置することでハイテクなイメージを作り上げると同時に、かつての凹凸ランプを想起させるデザインとしました。
 インテリア: 躍動的に流れるライン
インテリアのデザインもまた、彫刻的な優雅さと簡潔さによって特徴付けられています。また、ホワイトのインストゥルメントパネルが明瞭な官能性を醸し出しています。その曲線的形状は、クジラの尾びれが海に隠れる直前の姿を想起させるもの。流れるような曲線が印象的なインテリア全体のデザイン同様、上側と下側でウェーブを描く2本のラインが明確な構造を織りなしています。
インストゥルメントパネルの造形には思わず目を見張らされることでしょう。エアバッグのパッケージングを見直すことで、インストゥルメントパネルの下部を彫刻的な形状とすることが可能になりました。一方、インストゥルメントパネルの上部はダッシュボードの手前に浮かび上がっているように見えますが、この官能的なデザインを私たちは“トップレイヤー”と呼んでいます。このインストゥルメントパネルからドアにかけての造形は、連続的に変化させることでラップアラウンドデザインを形作っています。波のような“動き”を見せるラインはドアパネルまで続いています。
インストゥルメントパネルの中央に4つ並んだエアアウトレットは未来志向の強い非常に凝ったデザインで、風向を調節するフィンが楕円形の穴を囲むような形で並んでいます。このエアアウトレットはデザイン面でコントラストを加えることを狙ったもので、素材は、セラミックのように見えるホワイトアルミニウム、それにブラッシュ仕上げやポリッシュ仕上げのアルミニウムを組み合わせています。
アルミニウムの操作スイッチ類は、機能的でクリーンなデザインを採用し、周囲の有機的かつ前衛的なシェイプとの間に刺激的なコントラストを生み出しています。
優しい表面を持つ薄いフードの下には、新型Sクラスでお馴染みの12.3インチ30.7cm)ディスプレイを搭載しました。アスペクト比は8:3です。この全面ガラス張りのカラーディスプレイはSクラスのものよりさらにスリムで、空間内に自由に浮いているように見えます。このハイテク装備は、インストゥルメントパネルの官能的な美に刺激的なコントラストを与えています。ディスプレイの色合いはブルーを基調とし、スポーティかつモダンな感覚を強調しています。
センターコンソール上のタッチスクリーンには4つの世界時計が表示され、ドライバーはどの時計を表示するか選択できます。その手順は、まずディスプレイ内の地球儀をスクロールし、続いてドロップダウンメニューに表示された都市のなかからタイムゾーンを選びます。この世界時計のコンセプトは、米国カリフォルニア州パロアルトにあるメルセデス・ベンツ アドバンスト デザインセンターのデザイナーとエンジニアによって設計・開発されたものです。
センターコンソールのCOMANDコントローラーはまるで輝く宝石のようです。高級感あふれる「ブラックダイヤモンド」の表面処理がデザインに奥行き感をもたらしています。この「ブラックダイヤモンド」処理は、CVD(化学気相蒸着)プロセスを用い、高光沢のクローム面に1,000℃の高温下で貴金属の層を積み重ねていくもの。貴金属が表面のクロームと反応して形成される蒸着層は耐スクラッチ性が高く、接着強度の面でもすぐれています。
コンセプトSクラス クーペのドアパネルはアルミニウム製です。また、コンピュータアルゴリズムを用いて繊細な等高線のようなラインをメタルプレートに埋め込み、ドアに設けた操作部周囲の曲面を視覚的に表現しました。これにより小さなきらめくハイライトを散りばめたかのような趣ある光のパターンが生まれました。このデザインは、米国ユタ州の岩石層にヒントを得たものです。少しずつ間隔を広げながらスピーカーの周囲を取り囲む小さな穴のデザインもアルゴリズムで生成されたもので、数学が内包する知的な美の一端を示しています。
シートにも、インテリア全体のデザイン同様、きわめてダイナミックでありながら自然な“流れる線”を採り入れ、さらに彫刻的なデザインを受け継ぎました。フロントシートは、彫刻的な造形がファッションデザインにおける小立像を思い起こさせる官能的なラインを強調しており、まるでオートクチュールで仕立てられたかのような印象を与えます。シートの上部に設けられたサイドボルスターは、あたかも襟のように乗員を包み込みます。縦のラインは精巧なパイピング加工によるもの。サイドボルスター周辺のパイピングはコントラストをもたらすとともに、パンチング加工を施したようなシートの表皮はスポーティかつエレガントな印象を与えます。
アンスラサイト、ホワイト、そしてアルミニウムが生み出す華やかなコントラストは厳選した色彩や素材と一体となり、ボルスターとともに時を超えた現代性と前衛性を際立たせると同時に、コンセプトSクラス クーペが主張する「究極の高級感、高品質、完全性」をも強調しています。このスピリットに従い、インストゥルメントパネルとシートには柔らかなナッパレザーを採用。また、ルーフライナーには手織りのシルクを用い、室内の高級感を強調しています
 テクノロジー: 高度な支援システムと視覚を得たサスペンション
コンセプトSクラス クーペの心臓部はV8ツインターボエンジンで、排気量4,663ccから最高出力335kW/455hpを発揮。最大トルクは700Nmに達します。
コンセプトSクラス クーペにはメルセデス・ベンツの「インテリジェントドライブ」テクノロジーが搭載されています。ステレオカメラが持つふたつの眼により車両前方の50mまでを立体的に捉えるほか、「6Dビジョン」によって対象物の位置や動きを検知できます。さらに前方は最大500m