2010年
7月
28日
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02:00
Europe/Amsterdam

ダイムラー、2010年の通期EBITは 60億ユーロを予測

第2四半期グループEBITは21億400万ユーロ(前年同期: 10億500万ユーロの赤字)
純利益は13億1,200万ユーロ(前年同期: 純損失10億6,200万ユーロ)
売上高は前年同期を大幅に上回る251億ユーロ(前年同期: 196億ユーロ)
フリーキャッシュフローは25億ユーロと大幅増加
メルセデス・ベンツ・カーズは2010年通期EBIT 40億ユーロを予測
ダイムラー・トラック通期予測EBITは約10億ユーロ
* EBIT: 利払い前の税引き前当期利益
 
ダイムラーAGは2010年第2四半期の決算を発表しました。当期の実績は、全世界での自動車市場の回復や、主要な乗用車および商用車市場における力強い成長、魅力的な製品ラインアップ、それに効率改善対策の実施により大きく改善しました。グループEBITは7月16日の発表どおり、21億400万ユーロとなりました(前年同期: マイナス10億500万ユーロ)。
ダイムラー AG 取締役会会長兼メルセデス・ベンツ・カーズ部門統括のディーター・ツェッチェは、「戦略の効果が現れはじめており、全部門で販売台数、売上高とも大幅な伸びを記録しました。非常に好調だった第1四半期を受けて、第 2 四半期もすぐれた実績を上げることができました」と話しています。とくにメルセデス・ベンツ・カーズとダイムラー・トラックの両部門は大幅な増益となりました。
ツェッチェは通期見通しについても自信を深めており、「売上高は大幅増、継続事業による EBIT も60億ユーロとなる見込みです」と述べました。
EBITの増益によって、純利益も13億1,200万ユーロと、前年同期に比べて大きく改善しました(前年同期: 純損失10億6,200万ユーロ)。1株当たりの収益は1.18ユーロ(前年同期:マイナス0.99ユーロ)となりました。
販売台数は 27 %増
ダイムラーの世界販売台数は49万6,500台(乗用車・商用車合計)で、前年同期を27%上回っています。
売上高は前年同期の196億ユーロから251億ユーロと大幅に増加しました(28%増)。為替変動の影響を除いた増加率は21%となります。
産業部門のフリーキャッシュフローは 11 億ユーロ増の 25 億ユーロとなりました。
第2四半期末現在、ダイムラーの従業員は全世界で25万7,658人(2009年6月30日:25万7,427人)。このうちドイツは16万3,507人(2009年6月30日:16万2,818人)となっています。なお、現在の受注状況と世界的な需要回復を受けて、労働時間短縮はわずかなケースを除き、2010年5月31日をもって終了しました。
部門別の詳細について
メルセデス・ベンツ・カーズ部門の販売台数は19%増の34万2,500台となりました。このうちメルセデス・ベンツ・ブランドは24%増の31万4,400台と、第2 四半期の実績としては過去最高を記録しました。スマートフォーツーはライフサイクルの関係から 2 万7,100台と、前年同期の 3 万 3,500 台を下回りました。メルセデス・ベンツ・カーズ全体の売上高は 33 %増の140億ユーロ。 EBIT は 17 億ユーロ増加し、13億7,600万ユーロとなりました。売上高利益率は9.8%でした(前年同期: マイナス3.2%)。
このようにきわめて好調な実績となった主な要因としては、中国向けを中心とする出荷台数の増加とモデル構成比率の改善があります。さらに、価格設定の改善、効率強化、為替レートがわずかに有利になったことも、収益性の大幅改善につながりました。
ダイムラー・トラック部門では販売台数が55%増の8万3,800台となりました。販売台数は、インドネシア( 130 %増)、米国(44%増)、ブラジル( 50 %増)、欧州(39%増)など、すべての主要市場で増加しました。売上高は 59 億ユーロと前年同期(42億ユーロ)を大幅に上回りました。 EBIT も3億ユーロと大幅に増加(前年同期:マイナス5億 800 万ユーロ)、売上高利益率は5.1%となりました(前年同期:マイナス12.0%)。
この増益の最大の要因は、販売台数が好調に推移したことにあります。また、2つの子会社、ダイムラー・トラック・ノースアメリカと三菱ふそうトラック・バスのポジショニングの見直しを中心とするコスト削減策も奏功しました。これらの対策の継続実施は、1,400万ユーロのEBIT減益要因となっています(前年同期: 2億1,700万ユーロ)。
メルセデス・ベンツ・バン部門の販売台数は 42 %増の 5 万 9,400 台となりました。売上高は 20 億ユーロと前年同期( 15 億ユーロ)を大幅に上回りました。 EBIT は1億 2,700 万ユーロ(前年同期:マイナス 1,000 万ユーロ)、売上高利益率は 6.4 %まで改善しました(前年同期:マイナス 0.7 %)。同部門の増収増益は、前年同期に比べて販売台数が大幅に増加したことが最大の要因となっています。為替レートはマイナスに働いたものの、その影響は継続的な効率改善により調整されています。
ダイムラー・バス部門ではバスおよびシャーシの販売台数が1万800台(前年同期: 8,300台)となりました。売上高も12億ユーロと前年同期の11億ユーロを上回っています。EBITも前年同期の4,900万ユーロから7,900万ユーロへと増加しました。売上高利益率は6.6%でした(前年同期: 4.4%)。主な要因としては、為替相場が有利に動いたことや、ラテンアメリカ向けシャーシの出荷が増え、売上高が伸びたことが挙げられます。
ダイムラー・ファイナンシャル サービス部門では、契約額が638億ユーロと、2009年末に比べて9%増加しました。為替調整後の伸び率は0%となります。新規事業は 79 億ユーロとなりました(前年同期: 65億ユーロ)。 EBIT は1億 7,100 万ユーロと大幅に改善しました(前年同期: 7,900万ユーロ)。
増益の主な要因は、リスクコストの減少と金利差益の増加があげられます。これに加え、非自動車関連資産(2,600万ユーロ)の売却に関連して利益が発生しました。また、ドイツにおける事業の位置づけの変更により、7,800万ユーロの支出が発生しています。
以上の各事業部門のEBITからグループEBITへの「調整」の部は、持分法が適用される EADS に対する出資にもとづき案分したダイムラーの帰属分と、企業
レベルでのその他の損益、部門間連結消去による収益への影響を含んでいます。
今後の見通し
各事業部門の予測にもとづき、 2010 年の総販売台数は前年実績の160万台を大幅に上回るものと予測しています。
2010年通期のグループ売上高も大幅に増加する見込みです(前年: 789億ユーロ)。
全部門とも事業が好調に進み、また主要な為替相場も有利な展開となっていることから、ダイムラーグループではふたたび業績予測を上方修正しました。 2010 年通期の継続事業 EBIT は 60 億ユーロとなる見込みです。
この予測は、経済の安定した推移と好調な販売が前提となります。最大のリスクとしては、金融市場の変動の大きさとマクロ経済の悪化が考えられます。
継続事業による各事業部門の2010年通期EBIT修正予測は以下のとおりです。
• メルセデス・ベンツ・カーズ : 40 億ユーロ
• ダイムラー・トラック:約10億ユーロ
• メルセデス・ベンツ・バン : 約3億5,000万ユーロ
• ダイムラー・バス : 1 億8,000万ユーロ
• ダイムラー・ファイナンシャル サービス: 約8億ユーロ
メルセデス・ベンツ・カーズは新型Eクラスのラインアップが出揃ったことがプラスの要因となります。これに加え、新型スーパースポーツカー、メルセデス・ベンツSLS AMGと2010年秋に発売予定のRクラス、CLクラスの新世代モデルも販売台数を押し上げる要因となります。また、2010年第3四半期より、超低燃費の新型6気筒および8気筒ガソリンエンジンを順次導入します。
スマートについては、第 3 四半期は新世代モデル発売を受けて需要が増加するものと見込んでいます。魅力的で競争力にすぐれたクルマを持つメルセデス・ベンツ・カーズ部門では、メルセデス・ベンツ・ブランドの2010年販売台数は 2 ケタの伸び率を予測しています。
2010 年後半については、前半からの好調が続くものの、伸びは鈍るものと考えています。世界的な販売市場の安定と経済環境の改善は今後も続く見込みですが、地域によっては成長が減速するおそれも残っています。さらに、 5 月 31 日付けで労働時間短縮を終了したことにより、年後半には人件費が増加することや、ダイムラーにとって重要な通貨の為替相場がきわめて不安定であることもマイナス要因となります。これに対して、効率改善プログラムの実施継続やラインアップの最適化はプラスの要因となります。
ダイムラー・トラック部門では、多くの主要市場の安定化や新モデルの導入により、販売台数の大幅な回復を見込んでいます。地域別では、インドネシア、米国、ブラジル、欧州がおそらく引き続き牽引役となるでしょう。また、日本とトルコでも市場の回復が予想されます。
メルセデス・ベンツのトラック、アテーゴおよびアクソルの一部改良による販売の拡大が期待されます。このモデルは、 IAA 商用車ショー開催とともに注文の受付を行い、年末にも納車を開始する予定です。
米国では、デトロイトディーゼル・エンジンから BLUETEC テクノロジーを搭載し、 EPA10 排ガス規制に適合した新世代大型エンジンが供給されるためフレートライナーのトラック需要が増加することが見込まれます。ダイムラー・トラックの新世代大型エンジンから BLUETEC エンジンを採用した三菱ふそうの新型大型トラックや中型の三菱ふそうファイターも需要を刺激する要因となるでしょう。
メルセデス・ベンツ・バンは、バン需要の増大と市場の回復を背景に、今年は前年に比べて大幅な販売台数の増加を予測しています。
ダイムラー・バスでも、ラテンアメリカの各市場でのシャーシ販売が堅調なことから、販売台数の増加を見込んでいます。ただ、西欧では市場の低迷から販売台数は前年を割り込むものと予想されます。
ダイムラー・ファイナンシャル サービスでは、2010年通期は世界的な信用リスクコストの減少と効率のいっそうの向上が見込まれます。為替変動の影響を除いた契約額は、年後半は安定して推移するものと見られます。
ダイムラーの 2010 年世界従業員数は、需要が増加に転じたことから 2009 年末と同じ水準か、わずかに増加すると予測しています。