2016年
2月
19日
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01:00
Europe/Amsterdam

ダイムラーの業績は2015年も好調に推移:販売台数、売上高、EBIT、純利益は過去最高を記録。過去最高の配当を提案。2016年も好調の見通し。(ダイムラー社プレスリリース抄訳) 

これは、2016 年2 月4 日にダイムラー社から発表されたプレスリリースの日本語抄訳です。
ダイムラーの業績は2015年も好調に推移:    販売台数、売上高、EBIT、純利益は過去最高を記録。過去最高の配当を提案。2016年も好調の見通し。
  • 総販売台数は過去最高の290万台(12%増)
  • グループ売上高は15%増で1,495億ユーロに(2014年:1,299億ユーロ)
  • グループEBITは135億ユーロに大幅増(同:108億ユーロ)
  • 継続事業EBITは前年度よりも大幅に伸び、138億ユーロに(同:101億ユーロ)
  • 当期純利益は89億ユーロ(同:73億ユーロ)
  • 配当は過去最高の1株当たり3.25ユーロを提案(同:2.45ユーロ)
  • 2016年見通し:販売台数、売上高、継続事業EBITはいずれも増加を予測
ダイムラーAGは2015年も順調な成長を遂げ、販売台数、売上高、さらには継続事業EBIT、グループEBIT、当期純利益のいずれにおいても最高を記録しました。 この業績結果には、すべての部門が貢献しています。グループのあらゆる部門の 製品が高い競争力と魅力を兼ね備えているなかで、2016年は世界の自動車需要の若干の増加が予想されることから、グループは平均を上回る業績をあげ、それによって、  主要市場でのポジションを強化し、販売台数をさらに増やせるものと考えています。その結果、売上高や継続事業EBITのさらなる伸びが期待されます。
ダイムラーAG取締役会会長兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括のディーター・ツェッチェは2016年度年次記者会見のオープニング・スピーチにおいて、次のように述べています。「2015年はダイムラーにとって、よい1年でした。経験の中から私たちが学んだのは、『頂点に立つのは難しい。しかし頂点に立ち続けることはもっと難しい』ということです。そこで私たちは、『ダイムラーが持続的に頂点に立ち続けること』を目標に掲げました」。
2015会計年度のグループのEBITは135億ユーロ(2014年:108億ユーロ)、継続事業EBITは138億ユーロ(同:101億ユーロ)でいずれも過去最高を記録しました。当期純利益は89億ユーロで、前年(同:73億ユーロ)を大きく上回りました。1株当たり利益は8.08ユーロに増えました(同:6.51ユーロ)。
これまでにもお知らせしたとおり、2015年、ダイムラーの総販売台数は大きく増加しました。約290万台という数字は2014年に比べて12%増となります。この伸びを 牽引したのはメルセデス・ベンツ・カーズ(16%増)で、メルセデス・ベンツ・バン(9%増)がそれに次いでいます。ダイムラー・トラックの販売台数の伸びは1%で、当初の期待を下回りましたが、これは主にラテンアメリカとインドネシアの市場が振るわなかったためです。ダイムラー・バスをみると、年頭は若干の成長が期待されましたが、販売台数は前年を大きく下回りました。これは主に、報じられるとおり、ラテンアメリカでのバスシャーシ市場が振るわなかったためです。販売台数の伸びに牽引されて、ダイムラーの2015年の総売上高は15%増の1,495億ユーロとなりました。為替変動の影響を除いた売上高の伸び率は9%でした。
ダイムラーAG取締役ファイナンス・コントロール/ダイムラー・ファイナンシャル サービス統括のボド・ユッバーは次のように述べています。「ここ数年のダイムラー・グループの利益の伸びは、私たちの戦略が功を奏し、私たちが順調に成長を遂げていることを明確に示しています。継続事業EBITは2014年と比べると30%を超える伸びを記録しました。2010年と比べると利益はほぼ倍増しました。さらに売上高は過去 5年間で50%を超える伸びとなりました」。
2016年4月6日の年次株主総会において、取締役会および監査役会は1株当たり3.25ユーロの配当(2014年:2.45ユーロ)を提案する予定です。「再び増配を行い、ダイムラーとして過去最高額を提案することで、これまでどおり、わが社の好調な業績を株主の皆様への利益分配に反映させます。これはまた、現在継続させている事業展開に対するダイムラーの自信の表れでもあります」とボド・ユッバーは述べています。配当総額は34億7,700万ユーロ(同:26億2,100万ユーロ)、ダイムラーの株主帰属純利益に占める配当総額の割合は40.2%(同:37.6%)となります。
産業部門の純流動性は、ドイツと米国の年金制度資産に12億ユーロの特別拠出を行い、デジタルマッピング企業HERE社の買収に7億ユーロを投じたにもかかわらず、2015年末現在で186億ユーロに増えています(2014年:170億ユーロ)。産業部門の特別項目調整後のフリーキャッシュフローについても、今年もまた前年(同:52億ユーロ)を上回る数値(59億ユーロ)となり、提案予定の2015年度配当総額よりもはるかに大きな額となりました。
従業員数の拡大、過去最高の利益分配
グループの製品に対する高い需要のおかげで、従業員数は2014年末に比べて1%増員されました。2015年12月31日現在、ダイムラー・グループの従業員の総数は28万4,015人でした。ドイツ国内の雇用は17万454人に増えました(2014年:16万8,909人)。中国の連結会社の従業員の総数は同年末で3,155人(同:2,664人)でした。ダイムラーの実習生の数は約6,500人で、ドイツのすべての自動車メーカーの実習生の3分1以上を占めています。
従業員にとってより一層魅力ある会社を作り上げるために、グループ内においても社外のマーケットにおいても、ダイムラーは一貫して努力を続けています。従業員はマーケットの動向に合わせて、他社を上回る報酬や、たとえば企業年金のような付加給付を受け取ります。グループはまた、事業の成功によって生まれた利益の分配を従業員に対して行います。2016年4月、ダイムラーAGは、2015会計年度の業績に対して有資格従業員に最高で5,650ユーロ支払いますが、これは過去最高となる額です(2014年:4,350ユーロ)。
部門別の詳細について
メルセデス・ベンツブランドに加えて、サブブランドのメルセデスAMG、メルセデス・マイバッハ、メルセデスミー、そしてスマートブランドからなるメルセデス・ベンツ・カーズは、2015年も順調な成長を加速させ、目標とする継続事業の売上高利益率を達成しました。販売台数は6年連続で増加し、200万1,400台と、初めて200万の大台に乗りました(16%増)。市場シェアはほとんどすべての地域で拡大しました。売上高は14%増で838億ユーロとなりました。この部門の2015年のEBITは82億2,600万ユーロでしたが、これは前年の58億5,300万ユーロに対して41%の大幅増となります。売上高利益率は9.8%まで高まりました(2014年:8.0%)。
新型車の導入は、新車の販売台数の増加に貢献しました。最も重要な牽引役を果たしたのは新型Cクラスとコンパクトカーの各モデル、そしてSUVモデルの販売の増加です。EBITの伸びに影響を与えたその他の要因としては、価格設定の成功、効率向上対策、為替レートなどが挙げられます。一方、減益要因としては、生産能力拡大の費用や新技術・新モデルのための先行支出があります。利益には、他の期間における公共部門賦課金のための1億2,100万ユーロの費用や、メルセデス・ベンツUSA有限責任会社(LLC)の本社の移転に伴う1,900万ユーロの費用が計上されています。他方、EBITには、米国における不動産売却による8,700万ユーロの収入が計上されています。 前年のEBITには、代替駆動システムの分野への投資評価損として3,000万ユーロが計上されていました。
ダイムラー・トラックの2015年の販売台数は、1%増で50万2,500台となりましたが、これは2006年以降で最高の数値です。売上高は16%増え、376億ユーロとなりました(2014年:324億ユーロ)。この部門のEBITは25億7,600万ユーロで、2014年の18億7,800万ユーロに比べて37%の大幅増となりました。売上高利益率は前年の5.8%から6.9%にアップしました。
増益要因としては主に、NAFTA域内やヨーロッパにおける販売台数の増加に加えて、さらなる効率向上の実現や為替変動の影響が挙げられます。それに対して、減益要因としては、ラテンアメリカ諸国やインドネシアにおける販売台数の減少があります。さらに、保証費用やお客様の信頼度を向上させるための費用、生産能力拡大のための費用、新技術や新型車関連の先行費用が増えたことも減益要因として挙げられます。EBITには、ブラジルやドイツで継続している最適化プログラムに関連する5,800万ユーロの雇用調整費用も含まれます。また、Atlantis Foundries (Pty.) Ltdの売却に伴い、6,100万ユーロの支出がありました。Kamaz PAOへの投資評価損から発生した支出は、前年の減益要因となりました。
メルセデス・ベンツ・バンは、2015年も販売記録を更新し、販売台数は9%増の32万1,000台となりました。115億ユーロの売上高も、前年と比べて大幅な増加となります(2014年:100億ユーロ)。この部門の2015年のEBITは9億ユーロを達成しましたが、これは6億8,200万ユーロだった前年からの大幅な増加となります(32%増)。売上高利益率は2014年の6.8%に対して7.8%にアップしました。
EBITは、特にヨーロッパとNAFTA域内での販売台数の大幅増を反映しています。これは主にVクラスと新型ビトーの高い伸び率に牽引されています。原料使用のさらなる効率化も増益に影響を与えました。その一方で、保証費用やお客様の信頼度を向上させるための費用はEBITの減益要因となりました。2014年のEBITの増益要因としては、中国の合弁会社Fujian Benz Automotive Corporationの簿価に対する6,100万ユーロの減損戻し入れが行われたことが挙げられます。
ダイムラー・バスは2015年、全世界で2万8,100台のバス(完成車およびシャーシ)を販売しました(2014年:3万3,200台)。販売台数のこの大幅減少は主に、ブラジルの経済状況が依然として思わしくないことによるものです。それにもかかわらずこの部門は、主力となる車両総重量8トン超バス市場における揺るぎないトップの座を守ることができました。当期年度中、西欧での完成車バス事業は好調に推移し、販売実績は前年レベルを上回りました。売上高は41億ユーロ(同:42億ユーロ)となりました。この部門の2015年のEBITは前年比9%増の2億1,400万ユーロ(同:1億9,700万ユーロ)、売上高利益率は5.2%となりました(同:4.7%)。
増益は主に、西欧における完成車の好調な業績と製品構成に加えて、さらなる効率  向上策の効果によるものです。また、有利な為替変動の効果も増益につながっています。他方、ラテンアメリカ諸国の長引く不況は、減益要因として働きました。利益にはNew MCI Holdings Inc.の株式売却に伴う1,600万ユーロの収入が含まれています。
自動車部門全体においては、合計で1億4,400万ユーロ(2014年:1億1600万ユーロ)の正味支出を伴った、グループ傘下のディーラー・ネットワークの再構築も減益の要因となりました。
当該年度中、ダイムラー・ファイナンシャル サービスのローンおよびリースの新規契約件数は150万件に達し、総額は579億ユーロにのぼりました。新規契約の総額は前年比21%増となりました。その結果、ダイムラー・ファイナンシャル サービスの販売およびリース事業は、2015年の自動車部門の新車販売のほぼ半数を支援する形となりました。2015年末の時点で370万台を超える自動車に対して、ローンまたはリースの契約が登録されています。このことは、契約額が18%増の1,167億ユーロとなったことを意味しています。為替調整後の伸び率は14%でした。2015年この部門のEBITは16億1,900万ユーロに達しましたが、これは前年の数値を実に17%も上回る業績です(2014年:13億8,700万ユーロ)。株主資本利益率は18.3%でした(同:19.4%)。
増益の要因としては主に、契約件数が増えたことや、為替変動が有利に働いたことが挙げられますが、それらは事業の拡大に伴う支出の増大を相殺してあまりあるものでした。
以上の部門のEBITからグループEBITへの「調整」の部には、企業レベルでの損益や、部門間のグループ内取引消去による収益への影響が含まれています。企業レベルでの損益は、7,900万ユーロの支出を計上しました(2014年:7億1,300万ユーロの収入。 前年の収入は主に、ロールスロイス・パワー・システム・ホールディング社(RRPSH社)およびテスラ社への投資から得られたものです。2014年、ダイムラーはRRPSH社の持株分の譲渡によって10億600万ユーロの収入を得た一方で、売付選択権の再測定により1億1,800万ユーロの支出も計上しました。テスラ社への投資に関しては、テスラ社に及ぼしていた大きな影響力を失ったため、テスラ社の持株分の再測定が必要となり、その結果、7億1,800万ユーロの収入を得ました。テスラ社の株価のリスク分散と当該株式の売却の結果、2014年には合計1億2,400万ユーロの費用が発生しました。企業レベルでの項目には、EU委員会が継続して行っている、ヨーロッパの商用車メーカーに対する独占禁止法調査に関連する6億ユーロの支出も含まれています。グループ内取引を除去した影響により、2015年は5,000万ユーロの利益を計上しました(同:4,200万ユーロ)。
将来への投資のさらなる増額
ツェッチェは次のように述べています。「これまでダイムラーは強い決意をもって 戦略を推し進めてきました。今日の成功はその成果といえます。したがって、私たちが進むべき道はまったく変わっていません。ダイムラーは今後も、中核事業を強化し、世界規模で成長を続けると共に、テクノロジーの分野をリードし、デジタル化を一層推進していく所存です」。そのため、すでに高い水準にあった研究開発費は、2014年の57億ユーロから2015年には66億ユーロにまでさらに増額されました。売上高に対する研究開発費の比率も4.4%という高い水準を維持しています(2014年:4.4%)。主な投資分野は、新型車、超低燃費かつ環境対応型の駆動システム、新たな安全技術、自動運転、製品のデジタル接続性にわたっています。
成長戦略の面では、ダイムラーは自動車市場が生みだすビジネスチャンスをうまく生かすことを目指しています。それと同時にグループは、自動車産業に広範な技術革新をもたらすことに主導的な役割を果たすと共に、デジタル化の分野をリードしたいとも考えています。そのためには、革新的製品や新技術に加えて、世界的な生産体制の拡大に対しても大規模な投資が必要となります。したがって、すでにきわめて高い水準にあった設備投資についても、当該年度に再び増額を行い、51億ユーロに達しました(2014年:48億ユーロ)。
メルセデス・ベンツ・カーズの設備投資は、前年度と同等の36億ユーロでした。最も重要なプロジェクトとしては、新型GLC、GLE SUV、新型Eクラスファミリーが挙げられます。開発中心拠点(コンピテンスセンター)としてのドイツの生産工場の再編に加えて、世界的な生産体制の拡大に対しても多額の投資が行われました。
ダイムラー・トラックの2015年の設備投資は、11億ユーロに増えました。ユーロ6製品攻勢の完了に続き、設備投資の焦点は技術的優位のさらなる拡大、高度な需要に対する生産能力の適合に置かれました。
メルセデス・ベンツ・バンの設備投資の焦点は次世代のスプリンター、新しい中型ピックアップ、ラテンアメリカでの新型ビトーの生産準備に置かれました。ダイムラー・バスは主に、新製品と、その生産設備の近代化および拡大に対して投資を行いました。
ダイムラーは、2015年にアウディ、BMWと共に、デジタルマッピング企業のHERE社を買収しました。HERE社のデジタルマップは、完全自動運転にいたる新しい運転支援システムの基盤となるものです。買収価格のうちダイムラーの負担額は6億7,000万ユーロでした。
見通し:2016年の自動車市場のさらなる拡大
現在の状況から判断すれば、2016年の世界の自動車需要は、高いレベルにあった2015年からさらに3%から4%の伸びを示す見込みです。米国や西欧の従来の市場の成長率は、近年に見られた大きな成長よりもおそらくかなり低いレベルにとどまるでしょう。しかし、中国市場は今年もやはりめざましい拡大を続け、それによって地球規模での市場の成長に最も大きく貢献するものとみられます。
米国の乗用車および小型トラック市場は、2015年は史上最高を記録しましたが、今年は微増にとどまる見通しです。西欧市場についても若干の成長が予測されます。ドイツやイギリスといった中核となる市場ではわずかな増加が見込まれるのに対して、イタリアなどのその他の市場ではかなりのレベルでそれに追いつく可能性があります。
日本市場は、前年に大きな市場の軌道修正が行われたことに続き、需要の安定化が期待されます。新興国の大型市場の見通しについては依然としてさまざまな動きが混在しています。インド市場の伸びは今後も加速するものとみられますが、ロシア経済の長引く不況の影響で、ロシアの自動車販売はさらなる落ち込みを示す公算がきわめて高いでしょう。
中型および大型トラックに対する需要は、関連するすべての地域において全体として昨年よりも若干下回る見込みですが、市場の動向は地域によっても異なるでしょう。北米のトラック市場は、産業部門が徐々に弱まり、そのことが大きな影響を与えると考えられます。現在の状況から判断するなら、クラス6~8のトラックに対する需要は、ほぼ10%の減少となる見込みです。しかし、欧州市場はこれまでのところ、世界経済の不透明な動向にあまり影響を受けていないように思われ、今年も若干の伸びを伴う回復基調が続くでしょう。
ブラジル市場には改善の兆しは見られません。不況が長引き、かなり不健全な財務状況が継続しているために、2016年にはさらに10%規模の市場の縮小が予測されます。ロシア市場の状況は依然として逼迫した状態にあり、需要はせいぜいほぼ前年レベルにとどまる程度と見込まれます。中国における需要は、製造業の成長の減速による影響を受けるものと見込まれます。現在の状況から判断するなら、せいぜい緩やかな市場の回復が予測される程度です。
小型、中型、大型トラックの日本での需要は堅実なものと見込まれます。かなり動きの鈍い経済状況のなか、日本市場の規模はほぼ前年レベルとなるでしょう。インドネシアのトラック市場は2015年の低いレベルで安定するものと見込まれます。インドにおいては、中型および大型トラック部門での大幅な成長が予測されます。
ダイムラーは、2016年の西欧市場での中型および大型バンの需要は微増であるのに対して、小型バンの需要は安定すると見込んでいます。米国の大型バン市場でも緩やかな成長が予測されます。しかし、ラテンアメリカにおいては、大型バン市場でのさらなる大幅な縮小が見込まれますが、中国市場においては、より活発な需要が期待されます。
西欧のバス市場については、前年をわずかに上回る市場の伸びが見込まれます。ブラジルでは、バス需要の大幅な落ち込みに続き、2016年にも市場のさらなる縮小が予測されます。
見通し:自動車事業における販売台数の伸びの継続
メルセデス・ベンツ・カーズは、2016年も「メルセデス・ベンツ2020」成長戦略を  継続していきます。総合的に見て、この部門は、販売台数の大幅増加とそれによる新たな記録の達成を目指します。そのベースとなっているのは、若返りを図ったきわめて魅力的なモデルのラインアップであり、それは今後も新製品を加えながら拡大していく予定です。モデルの多様性はこれまでにないレベルに達し、メルセデス・ベンツブランドの魅力を大いに高めています。それによって、個々のカスタマーとのコミュニケーションのための新しいコンセプトを引き続き構築すると共に、新しい市場や、より若い年齢層のターゲットに取り組むことが可能となります。メルセデス・ベンツは、「ベスト カスタマー エクスペリエンス」販売およびマーケット戦略のもとで、女性の  好みやニーズへの対応にこれまで以上に力を入れています。新たに行われるホリスティックな取り組みの中心となるのは、「She’s Mercedes」と銘打ったインスピレーション・プラットフォームです。
2016年においても、新型モデルは成長のための大きな牽引役を果たすでしょう。「SUVの年」となった2015年、メルセデス・ベンツブランドは新型または改良モデル4車種の投入を含めて、SUVのほぼ全面的なリニューアルを図りました。2016年3月、GLの後継新世代モデルとして、ラグジュアリーなGLSがショールームにお目見えします。そしてこれをもって、SUV攻勢が完結することになります。
2016年の最も重要な、そして成長の牽引役として登場する新たなモデルは新型Eクラスです。メルセデス・ベンツは、この世界で最もインテリジェントなビジネスセダンによって、事故のない自動運転に向けて、次のステップに踏み出そうとしているのです。新世代のSLやSLCの市場への導入と共に、Cクラスクーペ、Cクラスカブリオレ、Sクラスカブリオレもまた、メルセデス・ベンツブランドの成功に貢献するでしょう。これに加えて、傑出したドライビングパフォーマンスと小型車なみの低燃費を融合させた、プラグインハイブリッドの追加モデルが、2016年に発売される予定です。プラグインハイブリッド技術を搭載した自動車は、排ガスを出さないモビリティ戦略の重要な要素となるものです。そのため、プラグインハイブリッド駆動システムを搭載するモデルの数はこの先も順次増え続け、2017年には、メルセデス・ベンツのプラグインハイブリッドモデルは、現在の2倍にあたる合計10モデルとなる予定です。
2016年はスマートブランドにおいても販売台数の大幅増が見込まれています。それを促進する役目を果たすのが、昨年のフランクフルトモーターショーで世界発表となった新しいスマートフォーツー カブリオです。このモデルは3月に納車を開始します。そして夏には、スポーティなデザインと、よりパワフルなエンジンを備えた、フォーツーとフォーフォーの新しいブラバスモデルがショールームにお目見えします。年末には、すべてのスマートモデルにエレクトリックドライブ(電気自動車)が登場します。
地域別でみると、メルセデス・ベンツ・カーズは、アジア市場が2016年の販売台数の伸びの強力な推進役となるものと見込んでいます。2015年、中国は初めてメルセデス・ベンツの最大の販売市場となりました。2015年の41%という高い伸びに続き、2016年には、現地生産車種を中心に、さらなる拡大戦略が計画されています。しかし、今年の中国の伸び率はこれまでよりは緩やかなものとなりそうです。昨年、販売網は約500拠点に拡大されました。現地生産能力も増強され、Cクラス、Eクラスに加えて、2つのSUVモデル(GLAとGLC)の生産が2015年に開始されました。さらなる伸びは、北米でも新型車を導入することで実現すると予想されます。メルセデス・ベンツ・カーズは、西欧市場に見込まれる継続的な需要の復活により、平均以上の収益をあげることを目指しています。
ダイムラー・トラックは2016年、前年並みの販売台数を予測しています。西欧市場では、この部門の販売台数は、2015年よりも若干増加することが期待されます。しかし、トルコでは販売台数が大きく落ち込むことが見込まれますが、その主な要因は、2016年初めにトルコでも排ガス規制ユーロ6が適用されたため、購入が2015年中に駆け込みで行われたことにあります。
ブラジルでのこの部門は、昨年の市場の不振に続き、販売台数のさらなる落ち込みが予測されています。経済成長が見られないことや、不健全な財務状況は、2016年にもビジネスに影響を及ぼすものとみられます。そこで、ブラジルにおけるダイムラー・トラックの競争力の継続的強化を図るため、現地専用の製品、革新的技術、生産ネットワークの最適化に対して、2018年までに約5億ユーロの投資を行う予定です。
NAFTA地域では、ダイムラー・トラックの販売台数は、市場の縮小により前年の高いレベルには達しないものと見込んでいます。ダイムラー・トラックは、デトロイトブランドの頑丈なコンポーネントと現代的な製品ラインアップとの組み合わせによって、カスタマーのニーズを理想的に満足させると共に、市場でのリーダーシップもしっかりと維持します。トラック部門は、販売されるトラックに搭載される自社製エンジンとトランスミッションの比率が高まるものと考えています。
日本とインドネシアでは、ダイムラー・トラックは2015年と同等のレベルの販売台数を予測しています。インドでは、きわめてポジショニングの優れた製品ラインアップのもとで販売台数の伸びが期待されます。さらにトラック部門は、インドで製造されるふそうブランドのラインアップを拡大することで、アジアとアフリカでの販売台数の   一層の伸びを図ります。
メルセデス・ベンツ・バンは2016年、販売台数の大幅増を実現することを計画しています。バン部門は、その中核市場である欧州においてバンの販売が大幅に増えることを予測しています。部門の戦略の一環として、「メルセデス・ベンツ・バンをグローバルに」のスローガンのもと、2015年に北米とラテンアメリカでもビトーを発売しました。これにより、2016年にもこれらの市場では需要が喚起されることになると見込まれます。そしてメルセデス・ベンツ・バンは、将来北米でも生産される予定のスプリンターによって、さらなる成長を遂げることを目指しています。さらに、MPVのVクラスと商用バンのビトーが中国で販売される予定です。それにより、中国市場におけるバン部門の存在感は一層高まることになるでしょう。
ダイムラー・バスは、革新的かつ高品質の新製品により、8トン超バスの中核市場において市場でのリーダーシップを保持することができるものと考えています。2016年の総販売台数は前年レベルになるものと見込まれます。この見込みは、西欧において販売台数が緩やかに増加するという仮定にもとづいています。2015年、ブラジル市場での需要や販売が大幅に減少したことに続き、バス部門は2016年もさらに販売台数が減少するものと見込んでいます。一方、メキシコでは引き続き販売台数が好調に推移するものと期待されます。
ダイムラー・ファイナンシャル サービスは今後も、収益性を確保しつつさらなる成長を目指していきます。2016年は新規事業の若干の伸びと、契約件数のさらなる増加を予測しています。その牽引役を各自動車部門の製品攻勢が果たすことになるでしょう。さらに、アジアを中心に、カスタマーとのコンタクトに新たなデジタル手段を用いる可能性を含めて、新しい市場のポテンシャルを活用しており、そのため特に、オンラインの販売チャンネルをシステマティックに開発しています。そうした成長のチャンスは、car2go、moovel、Ridescout、mytaxiといったブランド展開や、Blacklane、MeinFernbus Flixbusといった企業への投資など、革新的モビリティサービスの分野にも見られます。
見通し:2016年の販売台数、売上高、EBITに見込まれる伸び
ディーター・ツェッチェは、今年の見通しを次のように要約しています。「2016年もまた、ダイムラーにとってよい年となることをすべてのデータが示しています。しかし、成功は毎年、努力によって勝ち取るものです」。
自動車市場の動向予測と各事業部門の計画にもとづき、ダイムラーでは2016年も総販売台数の一層大きな伸びを見込んでいます。とはいえ成長率は、例外的な勢いを見せた2015年よりはかなり低いレベルにとどまりそうです。ダイムラーはまた、グループの2016年の売上高は微増となるものと予想しています。したがって、ダイムラーは今後も成長路線を歩み続けていくでしょう。
ダイムラーは現在、すべての事業部門に、きわめて高い魅力と競争力を備えた製品を取り揃えていますが、そうしたラインアップは近年、拡張されると共に、リニューアルが続けられてきました。そこでグループは、2016年に見込まれる世界の自動車需要の若干の伸びによって、平均以上の収益をあげ、主要な市場での地位をさらに 強化できるものと考えています。メルセデス・ベンツ・カーズとメルセデス・ベンツ・バンでは売上高の大きな伸びが予測されます。ダイムラー・トラックとダイムラー・バスでは売上高は前年並みのレベルになるものと見込まれます。
地域別にみると、最も高い成長率が期待されるのはアジアと西欧ですが、他の地域でも事業規模の拡大が見込まれます。特に中国では、新たな販売拠点と生産能力の拡大によって、さらなる成長のための絶好の条件が整えられました。しかし、中国での販売台数の伸びが持続しても、一方で現地生産の比率もまた高まるために、売上高の伸びへの影響は、販売台数の伸びに見合わない低いレベルにとどまるでしょう。
予測される販売台数と売上高の伸びは、2016年の利益を増やす方向に影響を与える見込みです。ハイレベルな利益を永続的にあげるための基盤として策定されたのが、メルセデス・ベンツ・カーズの「Fit for Leadership」、ダイムラー・トラックの「Daimler Trucks #1」、メルセデス・ベンツ・バンの「Performance Vans」、ダイムラー・バスの「GLOBE 2013」といったプログラムです。持続的にコスト構造を改善するための対策に加えて、新たな事業活動の立ち上げにより、全体の利益は約40億ユーロ押し上げられました。これらのプログラムの全面的な効果は2015年に現れました。為替レートの動きが2015年の売上高および利益を大きく伸ばす形で総合的影響を及ぼしましたが、この効果は2016年には大幅に薄れることが見込まれます。
予測される市場の動向、上述の諸要因、各事業部門の計画をもとに、ダイムラーは継続事業によるグループEBITが2016年には微増となるものと考えています。
部門別の継続事業による2016年のEBITの目標は、次のように設定されました。
— メルセデス・ベンツ・カーズ:前年比微増
— ダイムラー・トラック:前年並
― メルセデス・ベンツ・バン:前年比微増
― ダイムラー・バス:前年比微増
― ダイムラー・ファイナンシャル サービス:前年比微増
ダイムラーは、市場および製品サイクルを通じた、持続的なベースでの自動車事業の平均売上高利益率を9%とすることを目指しています。この数値は、各部門に対して設定された次のような売上高利益率の目標にもとづいています。メルセデス・ベンツ・カーズ:10%、ダイムラー・トラック:8%、メルセデス・ベンツ・バン:9%、ダイムラー・バス:6%
予測される自動車部門での利益の増加は、2016年においても産業部門のフリーキャッシュフローに対してプラスの影響を与えるでしょう。2015年のフリーキャッシュフローに関していえば、それがドイツと米国の年金制度資産への12億ユーロの特別拠出や、デジタルマッピング企業のHERE社や米国のテレマティクス・プロバイダーのZonar Systems社の総計7億ユーロの株式の取得に影響を受けている点を考慮することが必要です。製品およびテクノロジーへのオフェンシブな投資は今後も継続・強化されます。そのため、特別項目の分を調整した産業部門の2016年のフリーキャッシュフローは、2015年の59億ユーロよりもかなり低くなるものと予想されます。しかしながら、ダイムラーは、それが2016年の配当よりは大幅に高くなると見込んでいます。
研究開発活動については、ダイムラーの目標は、今後の技術的課題を背景に、長期的な競争的優位をさらに強化することにあります。そのため、ダイムラーは2016年と2017年も再び研究開発費を平均72億ユーロと大幅に増額する予定です。大胆な成長目標を達成するために、製品ラインアップは今後システマティックに拡大され、生産・販売能力は一層の強化を図ることになります。同時にそれは、ダイムラーが自動車産業に広範な技術革新をもたらすことに主導的な役割を果たすことの裏付けでもあります。それは特に、製品のデジタル接続性やバリューチェーン全体にわたるプロセスに及んでいます。そこでダイムラーは、すでにきわめて高いレベルにある設備投資を、2016年もさらに大幅に増額する予定であり、2016年と2017年に平均70億ユーロの資本的支出を行うことを計画しています。
ディーター・ツェッチェは次のように述べています。「今後も私たちは、他に先駆けた技術革新によってモビリティコンセプトの構築に積極的に取り組み、グループ全体でデジタル化に向けて邁進していく所存です」。
ボド・ユッバーは次のように述べています。「私たちは利益を伴う持続可能な成長にとって好都合な条件を作り出すために投資を続けていきます。しかし、私たちはそのための手段として、将来性のあるプロジェクトや製品に対して必要な焦点を当てると同時に、適切な財務規則に従います」。
2016年に期待される販売台数と売上高の伸びによって、生産台数は増え続けると予想されます。それと同時に、近年全事業部門で実施されてきた効率化対策が充分に効果を発揮することになるでしょう。ビジネスプロセスの構造改革を図る中長期のプログラムによって、効率性はさらに向上する見込みです。それを背景に、ダイムラーは、雇用をわずかに増やすだけで、そうした大胆な成長目標を達成できるものと考えています。ダイムラーが中国のパートナーと共に運営する企業では、さらに雇用が作り出される予定ですが、ダイムラー・グループの従業員数には含まれません。