2011年
11月
30日
|
01:00
Europe/Amsterdam

メルセデス ・ベンツ コンセプト A クラス

産声を上げた新世代モデル
 1993年、 メルセデス・ベンツは革命的コンセプトカー「ビジョンA 93」を発表し、まったく新しいクルマのカテゴリーを開拓しました。 そして「コンセプト A クラス」もまた、表情ゆたかなデザインにより、濃密なダイナミズムを表現した。 あたかも他の惑星から舞い降りたかと見紛うばかりの新世代コンパクトモデルです。駆動方式は前輪駆動で、最新鋭4気筒ガソリン直噴ターボエンジン(最高出力155kW/210hp)や、デュアルクラッチトランスミッション、アダプティブ・ブレーキアシストを搭載したレーダー式衝突警告システムなど、注目の技術を採用しています。
 長いボンネット、低く構えたシルエット、 スリムなウインドウエリア――コンセプト A クラスは、濃密なダイナミズムをうかがわせるプロポーションと線と面が複雑に交錯する、スポーティで深みある外観デザインが特徴です。 メルセデス ・ ベンツ デザイン主任 のゴルデン・ヴァゲナーは次のように話しています。
「コンセプト A クラスは、 メルセデス・ベンツの新しいデザイン言語を、立体的に、軽快に、 そして表情ゆたかに解釈し、 コンパクトクラスに採り入れています。 コンセプト A クラスにみなぎるダイナミズムを言い表すのに、 デザイン部門では『エネルギーをつかまえた』という言い方をしています。風と波、 そして航空工学からインスピレーションを得た『クール』なデザインが生まれました」
 新世代ガソリン直噴ターボエンジンと7速デュアルクラッチトランスミッションを採用
 前輪駆動のコンセプト A クラスは、 デザイン面だけではなく技術面においても、メ ルセデス ・ベンツのコンパクトクラスに新時代の到来を告げるものです。 エンジンには、 新型M 270シリーズの4気筒ガソリンユニットを採用しました。 このM 270は横置きエンジンとして設計された100%アルミニウム製のエンジンで、燃料噴射圧を最大200バールとしたほか、高速動作のピエゾインジェクターを備えた直噴技術とターボの採用により、高性能を実現しながら、燃費と排出ガスを最小限に抑えています。
 この排気量2リッター、最高出力155kW/210hpのBlueEFFICIENCYユニットは、新開発デュアルクラッチトランスミッションと組み合わされています。 この3シャフト式トランスミッションは7速の前進ギアを持ち、駆動力を途切れさせずに自動変速を行うため、すぐれた燃費効率とスポーツ性、快適性を実現しています。
 エクステリアデザイン : 明確なエッジ、 ボディ面との気ままな戯れ
 メルセデス ・ベンツの新しいデザイン言語では、線と面の表情ゆたかな交錯が一つの大きな特徴となっており、 これをデザイン部門では「クリーンコンセプト」と呼んでいます。凹面、凸面とそれによる光の変化によって、独特な立体感を演出します。 メルセ デス ・ベンツが「F 800 Style」で初めて採用されたシャープなエッジと面の交錯というテーマは、コンセプト A クラスにも継承されています。
 サイドビューに際立つ3本のライン。まず、フロントのボディエッジが描く、 リアへ向けて下降するライン、リアアクスル上方のコンセプトAクラスのクーペ的性格を強調するたくましいショルダー、 そしてリアホイールアーチの前方で大きなカーブを描いて上方に伸びるライン。 これらのラインにより、 サイドビューは深みとダイナミズムを与えられています。 なお、 ドアハンドルは埋め込み式で、 ボタン操作により電動で現れます。
 ドアミラーは特異な翼形構造により、流麗さと軽快感を醸し出しています。独特な光と 影の効果を生み出すオープンサイドスカートも際立っています。 タービンのローターを想わせる20インチの大型ホイールは、 コンセプトAクラスが風によって形づくられた クルマであることを強調しています。
 フロントエンドは、満天の星がスリーポインテッド・スターを取り囲む、見る人の目を強く惹きつけるデザインとなっています。通常は穴やルーバーを用いるラジエターグリルには、ブラックのステムにメタリックシルバーの「ドット」を載せたものを多数配列しました。このデザインはホイールにも採用されています。
 ワイド感を強調したリアエンドはパワフルかつアスレチックな印象が色濃く、凹凸面の交錯やシャープなエッジによる躍動的なデザインとなっています。 リアコンビネーショ ンランプは、 たくましいショルダーのラインをリアへと水平方向に伸ばすことで、 ボディ 幅を強調しています。 またテールライトに内蔵したエアロスポイラーリップが、空力性能の改善に貢献するとともに、 リアディフューザーがダウンフォースを発生させ、 ロー ドホールディングを高めます。
 航空工学から多くのインスピレーションを得たインテリア
 大型パノラミックルーフから差し込む光があふれるインテリアも、他の惑星から舞い降りたかのようです。 その個性的なデザインは、航空機から多くのインスピレーションを得るとともに、「Mercedes-Benz Aesthetics No.2 (メルセデス ・ベンツ ・エステティ クスNo.2)」インテリアスカルプチャーの発想を採用しており、 ダッシュボードやセンターコンソールをブラッシュ仕上げしたアルミニウムのみで構成するなど、さまざまなコンポーネント群をぎりぎりまで簡素化することで、透明で明るい、生物工学的なデザインを生み出しました。
 インテリアでとくに目を惹くのは、航空機の翼の形と半透明の伸縮性ファブリックのライニングを採用したダッシュボードです。 クローム粒子を蒸着した高度なファブリックを通して、生物工学にもとづく細胞構造が見えるようになっています。ちょうど、昔の航空機で、キャンバス地を張った翼の形から内部の骨組みが分かるのと同じ効果です。 インストルメントパネルは大胆なバックライトによる未来志向の強いデザインとなっており、半透明の先進的ライニングを採用し、通常の支持構造を省略したダッシュボードは、 あたかも宙に浮いているかのように見えます。ダッシュボードのラインは、ちょうどジェット機のウィングレット(主翼端に取り付けられる小さな翼)から後方へ引いた雲のように、 ドアパネルへと伸びています。
 ダッシュボードのエアアウトレットもまた、ジェット機のエンジンをヒントとしたデザインで、半透明でバックライトが付いており、 クライメートコントロールの設定温度によって色が変化します(涼しい外気を取り入れているときはブルー、暖房時はレッド)。同様に、インストルメントクラスターの際立つディスプレイも、 ジェットエンジンのアフターバーナー (再燃焼装置)をヒントに、 レッドとしました。中央の操作ユニットは最新の 航空機のコックピットをイメージしたもので、 シフトレバーは「スラストレバー」の形をしています。独特な折り返した形のヘッドレストと大きく張り出したラテラルサポートを備えたシートは、ジェット戦闘機の操縦席を想わせます。
 室内の配色は、チタニウムおよびシルバーカラーと明るいエレガントなベージュを組み合わせています。 また、 エクステリアのダイナミックな曲面形状を覆う、水銀を思わせるアルビームシルバーペイント仕上げとのコントラストを強調すべく、マゼンタ色をハイライトとして使っています。
 素材面ではダッシュボード上のライニングや、セミアニリンをメタリック色素で染色したエンボス加工のメタライズドレザーなどの先進的な素材に加え、高級ヌバックレザーを採用することで、 メルセデス ・ブランドの125年の歴史と先進性を調和させています。
 革命的なグラフィックデザインでスマートフォン・アプリが便利に使える「 COMAND オンライン」
 コンセプト A クラスのオペレーションシステムは、スマートフォンと完全に統合されます。スマートフォンをセンターコンソールにセットすると、COMANDマルチメディアシステムと自動的に同期され、 インターネットラジオ、電子メール、 Twitter、 Facebook などのSNSを含む、スマートフォンの機能が7インチディスプレイ上にアプリとして表示され、COMANDコントローラーで操作することが可能となります。
 表示画面の各項目はマゼンタ色のレーザーのようなラインにより、奥行きある立体的な独自のデザインとなっています。量産間近のこのディスプレイコンセプトは、 メルセデス・ベンツのパロアルト開発ラボ(米国)のデザイナーやエンジニアの手で設計・開発されました。メニューの言語は中国語と英語の2言語に対応します。
 独自の効果を発揮する光ファイバーを使用したヘッドライト
 ヘッドライトには、革新的なフルLED高性能ヘッドライトを採用しました。発光ポイントが多数あり、 ラジエターグリルの「満天の星」のモチーフを反復することで、特殊な効果を醸し出します。 デイタイムドライビングライトは、 アルミニウム製スリーブ付きの光ファイバー90本から構成され、ヘッドライトユニット内部に翼の形に配列されています。無脊椎動物の触手を思わせる光ファイバーがそれぞれ拡散光を放つことで、強弱の劇的なコントラストを生み出します。
 あたかも香水の瓶に閉じ込められた気泡のようにヘッドライト内部に浮かぶLEDウインカーは、 どの角度から見ても独特な効果をもたらします。このウインカーは、風防ガラスを採用したヘッドライトユニットの上部に設けた6つのチャンバー内にあり、蒸着リフレクターが外から見えないようになっています。
 すでにメルセデス CLS で量産化されたこのLED高性能ヘッドライトは、インテリジェントライトシステムにLEDを組み合わせたものです。投光モジュールは従来のように円形ではなく、よりフラットでスポーティな形となっています。ハウジングには、このスポーティなデザインを強調すべく、 マット(つや消し)のカーボンファイバーを採用し、投光モジュール周囲のアルミニウムとのコントラストを演出しています。
 アルミニウム製スリーブ付き光ファイバーは、リアコンビネーションランプにも採用されています。 120ヶ所の光ファイバーによる発光ポイントはC字形のテールランプを形成、柔らかな光による独特な効果を生み出すとともに、ブレーキランプとして機能する場合には明るく輝きます。 ブレーキ時にはまた、左右のリアコンビネーションランプをつなぐ連続した帯の部分も点灯し、ボディ幅をいっそう広く見せます。 ウインカーはリアコンビネーションランプ中央部に内蔵されています。 リアコンビネーションラン プのベースユニットにはカーボンファイバーを採用し、 レッドの部分を数多く配して深みある外観を演出しています。
 追突のリスクを軽減する新型支援 ブレーキングシステム
 コンセプト A クラスは、安全技術のパイオニアであるメルセデス・ベンツが自動車安全のレベルをまた一歩大きく前進させるクルマとして、レーダー式衝突警告システム (アダプティブ ・ブレーキアシスト搭載)を備えています。 このシステムは、 ドライバーの不注意で危険な状態が生じるおそれがある場合に視覚表示と音声で警告し、ブレーキアシストの機能を準備させるもので、 ドライバーがブレーキペダルを強く踏むと、 ブレーキアシストが即座に起動します。
 コンパクトクラスの市販モデルに採用されている他のシステムと比べると、 この新型ブレーキアシスト ・コリジョンプリベンションアシストは、単に軽い衝突による損害を最小限に抑える都市型走行システムではなく、 あらゆる走行状況で発生しうる追突を防止するための革新的システムとなっています。 メルセデス・ベンツの安全担当部門による事故データの詳しい調査でも、追突事故の約20%を防げるほか、25%の事故の損傷レベルを軽減できると推定されており、安全性の向上に大きく貢献するものと期待されています。
 *記載の数値・データ・仕様はすべて欧州仕様、もしくは社内参考値です。