2011年
9月
21日
|
02:00
Europe/Amsterdam

SLS AMG ロードスターを発売

ソフトトップがわずか11秒で開閉、時速50Km/hでの操作も可能
オープン時でもクーペとほぼ同じ容量のトランクルーム
オープントップモデルでありながらクーペと同等の走行性能
メルセデス・ベンツ日本株式会社(社長:ニコラス・スピークス、本社: 東京都港区)は、メルセデス・ベンツのスーパースポーツカー「SLS AMG」のオープントップモデルSLS AMG ロードスター」を、本日より全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じ発売いたします。なお、お客様への納車時期は2012年1月頃より順次開始を予定しております。
「メルセデス・ベンツ SLS AMG」は、メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルを手がけるメルセデスAMG初の専用モデルとして、開発されたスーパースポーツカーです。このSLS AMGのオープントップモデル「SLS AMG ロードスター」は9月15日よりドイツで開催されているフランクフルトモーターショーにおいてワールドプレミアとなったモデルです。
新型SLS AMG ロードスターの特長
・メルセデスの伝説のスポーツカー「300 SL ロードスター」のデザインアイコンであるロングノーズ&ショートデッキの典型的スポーツカースタイルを現代流に解釈した、美しくも圧倒的な存在感を主張するスタイリング
・Zシェープに折りたたまれるファブリックソフトトップは11秒で開閉し、走行中(50km/hまで)でも操作可能で、オープン時でもほぼ変わらないトランク容量。(ロードスター:173L / クーペ:176L)
571PS(420kW)の圧倒的なパワーを発生させるメルセデスAMG社独自開発のハイパフォーマンスエンジン「M156」(6.3リッターV型8気筒)
・軽量かつ高剛性のアルミニウム・スペースフレームボディ構造や、エンジンをフロントアクスル後方に搭載したフロントミッドシップ形式、7速デュアルクラッチトランスミッションをリアアクスル上に配置したトランスアクスル方式による理想的な前後重量配分ドライサンプ潤滑方式による低重心化 により、スーパースポーツカーにふさわしい卓越したハンドリングと優れた操縦安定性に貢献
0-100km/h加速3.8最高時速317km/h(電子リミッター作動)の超高性能を実現しながら、NEDC総合燃費13.2L/100km7.6km/L*のクラストップレベルの燃費効率と、クリーンな排出ガス性能(EU5、LEV2、ULEV適合)を達成(* 欧州仕様参考値)
 ・ メーカー希望小売価格(消費税込み)は以下の通りです。
モデル
ステアリング
メーカー希望小売価格 (  )内は消費税抜き車両本体価格
SLS AMG ロードスター
¥25,900,000
(¥24,666,667)
*上記のメーカー希望小売価格は、付属品価格、税金(消費税を除く)、保険料、登録に伴う諸費用を含まない車両本体価格です。また「自動車リサイクル法」に基づく、リサイクル料金が別途必要となります。
なお、SLSAMG ロードスターにも、メルセデス・ケア(3年間走行距離無制限の無料修理・無料メンテナンスと24時間ツーリングサポート)が適用されます。また、メルセデス・
ケアの一般保証および24時間ツーリングサポートを有償にて最大2年間延長するプログラム「My Mercedes サポート」もご用意しております。
   
開放的で走る喜びに満ちた完璧なロードスター
メルセデス・ベンツ新型SLS AMGロードスターの個性的なデザインは、その情熱的なスポーツ性を際立たせるとともに、メルセデスデザインの最も輝かしいシンボルの1つであるメルセデス・ベンツ300 SLロードスターのデザインアイコンを新たに現代的に解釈したものです。2m近くにもおよぶロングノーズと大きく後退させた低いコックピット、リトラクタブルリアスポイラーを備えた短いテールエンド、そしてロングホイールベースとワイドトレッド、大径ホイールなど、スポーツカーデザインの原則をしっかりと踏まえた、ダイナミズムを象徴的に表現しています。また、短いオーバーハングに加え、大きくリア寄りの低い位置にマウントしたドライサンプ式フロントミッドシップエンジンとトランスアクスル式デュアルクラッチトランスミッションを採用したドライブトレインレイアウトがそのスーパースポーツカーとしての性格を決定づけています。
立体的で彫像のようなフロントビューは、横長のくぼみを持つ低いV字形フロントスカートを備え、力強さを与えています。左右いっぱいに広がった縦形ヘッドライトは中央のロービームに、メタリックのウィングをあしらったバイキセノンヘッドライトを採用し、その上のLEDウインカー2列と下のLEDドライビングライトで囲むデザインとしました。
航空機技術からヒントを得て
ジェットエンジンのエアインテークに似た円錐状に突出したスリーポインテッドスターと長いボンネットは、航空機を想わせるデザインです。ボンネットはフロントに向かって曲率が大きくなっており、ボンネット後端に設けた2つのベンチレーショングリルを飾る4本の「シャドウシルバー」フィンも同様です。航空機に見られるこの特徴的なラインは、SLS AMG ロードスターのボディをかすめる気流の速さを視覚的に表すことで、クルマが停止しているときもダイナミックな外観を生み出しています。
たくましい筋肉のようなサイドビュー
SLS AMG ロードスターのサイドビューで際立っているのが、あたかも張りつめた筋肉のようにフロントからリアへと伸びたショルダーラインです。サイドウォールから力強く伸びるホイールアーチに収まるホイールは、フロント19インチ、リア20インチのアルミホイールを採用しています。ホイールのスポークの間からは大径のAMGハイパフォーマンスコンポジット
ブレーキが目に入ります。
 ワイド感を強調したリアエンド
卓越した運動性能とパワーを表現するSLS AMG ロードスターのリアエンドは、ゆるやかに下降するトランクリッドとショルダー、そしてフラットなリアコンビネーションランプにより、ボディのワイド感を強調しています。水平方向に分割したリアコンビネーションランプはLEDによる先進的でスタイリッシュな印象を形づくっています。翼のように細く長く横方向に伸びるLEDライトは夜間も魅力的で個性的なデザインです。また、LEDリアフォグランプ/バックランプは、センターの低い位置に配置するF1レースカースタイルです。スポーツエグゾーストシステムのツインクロームエグゾーストエンドもやはりモータースポーツに由来するデザインです。また、リアスカートは急角度で絞り込むことで、リアのワイドタイヤをはっきりと見せリアビューのワイド感を強調しています。トランクリッドに一体化したリトラクタブルリアスポイラーは、速度120km/h以上で自動的に立ち上がり、すぐれた高速安定性に貢献しています。
全自動の軽量ソフトトップ
SLS AMGロードスターの魅力は、ソフトトップを開くといっそう高まります。パワフルな自然吸気V8エンジン(最高出力420kW/571hp、最大トルク650Nm)が本領を発揮、AMG 8気筒ならではのエキサイティングな排気音がダイレクトに室内に飛び込んできます。ファブリックソフトトップは速度50km/hまで開閉可能で、開閉動作は全て自動で行われ、所要時間はわずか11秒となっています。ソフトトップの開閉はセンターアームレスト前部に設けたルーフ操作ユニットにより簡単に操作でき、開放時にはソフトトップがシートの後ろにZシェープに折りたたまれる省スペース設計を採用しています。なお、ソフトトップの色は、ブラック、レッド、ベージュの3色の中からお選びいただけます。
この3層ファブリックソフトトップは、マグネシウム、スチール、アルミニウム構造により軽量化を図り、低重心化に大きく貢献しています。このソフトトップに、ヒーター付き単層安全ガラスによるリアウインドウがなめらかに接合されています。このリアウインドウは、ソフトトップの外被部分との間をすきまなく同一平面で接合することで、風切り音を抑えています。また、ソフトトップの下部はそのままウォーターポケットへとつながっており、受けた雨水を、左右の穴を通じてアンダーボディへ流しています。トランク容量は、ルーフの開閉状態にかかわらず173LとなりSLS AMGクーペ(176L)とほぼ同じ大きさとなっています。
航空機のデザインとレーシングカーの機能性を取り入れたインテリア
インテリアは、航空機のコックピットのような雰囲気を醸し出しています。インテリアデザインを決定づけるダッシュボードは、力強く伸びた翼のように幅広く見えます。ダッシュボード上のシャドウシルバーのベンチレーション送風口は、ジェットエンジンを連想させるデザインとなっています。シフトインジケーターとホワイト照明のメーター 個を備えるチューブ状のインストルメントクラスターもやはり、メタリックシャドウシルバー仕上げによりスポーツ感を強調しています。メーターパネルは360km/hスケールで、メーター針はレッドとなっています。ダッシュボードの中央にある2つの送風口の間には、7インチモニター付COMANDシステムをレイアウトしています。
本物のマットメタルを使用した長いセンターコンソールも、航空機のコックピットを思わせるデザインとしています。このセンターコンソールでとくに重要なのが、AMG ドライブユニットです。ドライバーに向けて配置されるこれらのスイッチにより、SLSのドライビングモードを設定することができます。また、AMGスピードシフトDCT 7速スポーツトランスミッションを操作するAMG E-SELECTレバーも、ジェット機の推力調整レバーのようなデザインとなっています。スイッチ類はすべて本物の金属を使用し、光沢あるシャドウシルバーの表面処理をしています。
このほか、インテリアにおけるクラフトマンシップを示すのは、ナッパレザーや本物の金属などの高級素材、さらに、オプションとして設定した本物のカーボンによるトリムも、ディテールへのきめ細かな配慮を示すアイテムです。室内のカスタマイズについては、ブラック、クラシックレッド、サンド、ポーセレン、ライトブラウン、エスプレッソブラウンのレザー6色の カラーを用意しました(クラシックレッド、サンド、ポーセレン、エスプレッソブラウンにはブラックとの2トーンも用意)。
マグネシウム製バックレストを採用したスポーツシート
スポーツシートは、軽量かつ高強度なハイテク素材であるマグネシウムをバックレストに採用し、車両の重量配分と低重心化に大きなメリットを生み出しました。また、シートクッションは2ゾーンタイプを採用しています。硬めの発泡材を詰めた大型サイドボルスターにより、最適なサイドサポートを実現するとともに、シートとバックレストの内側を柔らかめにすることで長距離走行でもすぐれた快適性を確保しています。さらに、シート前後ポジションや高さ、バックレスト角度、座面角度を電動調節できるメモリー付パワーシート、および電動チルト/テレスコピックステアリングを標準装備しています。このメモリーは3名分の設定を保存することができます。
さらに、冬のオープンドライブ時に乗員の首周りを温風で温めるエアスカーフも標準装備しています。また、オプションのフルレザー仕様には、メッシュ素材を中央部に備えたレザー巻きロールバーが装着され、標準装着のドラフトストップと相まってコックピット内の乱流を効果的に抑えます。また、ロールバー内側には、シャドウシルバーのトリムを配しアクセントとしています。
直径365mm、フラットボトムタイプのナッパレザー巻AMGパフォーマンスステアリングは、パドルシフトやスポークに本物の金属を使用し、本格的なハンドメイドを強調するとともに、ドライバーの意思をしっかりとクルマに伝えます。
アルミニウムスペースフレームを特別強化、車両重量を低減
新型SLS AMGロードスターの走りの喜びは革新的なボディ設計が土台となっています。シャーシとボディにアルミニウムを採用し、高度な軽量構造とすぐれた強度を同時に実現しました。車両重量は1,660kgと、クーペからの重量増加はわずか40kgに抑えられています。その結果、パワーウェイトレシオは2.9kg/hpのすぐれた値を達成しました。
SLS AMGロードスターは、ルーフなしでクーペと同等の運動性能を実現するために、ボディシェルの剛性を高める特殊な対策を導入しています。1つは肉厚を大きくし、チャンバーを増やしたサイドスカートです。また、ダッシュボードのクロスメンバーをウインドウスクリーンフレームとセンタートンネルに対して支えるストラットを追加するとともに、ソフトトップとタンクの間にカーブしたストラットを設けてリアアクスルを補強しています。クーペのハードトップとガルウィングドアを取り除いた代わりに、シートの後ろに補強用クロスメンバーを設けて固定横転保護システムをサポートしています。
これらの対策によって、不協振動の発生を防ぐことが可能となり、多くのオープントップスポーツカーに採用され、重量増につながっている追加の制振ダンパーが不要となりました。なお、軽量化を図ったアルミニウムスペースフレームは重量243kgと、クーペからの重量増加はわずか2kgとなっています。
高度な材料使用と低重心
軽量アルミニウムスペースフレームの材料構成比は、アルミニウム形材50%、アルミニウムシート26%、アルミニウム鋳物18%、スチール6%となっています。Aピラーには、熱間成形超高張力鋼板を採用し、最大限の乗員安全性を実現しています。
車両の全体のコンセプトは、重心ができるかぎり低くなるよう設計されました。このため、パワートレインとアクスルの接続部の位置を低くするとともに、ボディシェル構造の位置も可能なかぎり低くし、剛性を高めています。これによって例えば、前後の部分とセーフティパッセンジャーセルの接続部も、曲げやトルクに対して強くなっています。これらの接続部が力の伝達経路としてなるべく低く位置するよう工夫した結果、重心が低くなると同時に、車両構造内部の力の伝達も、バランスよく効率的なものとなりました。
最高水準のパッシブセーフティ
アルミニウムスペースフレーム構造はすぐれたパッシブセーフティを実現する土台となっています。さらに最高水準の安全装備として、3点式シートベルト、シートベルトテンショナー、ベルトフォースリミッター、8個のSRSエアバッグ(2段階式フロントエアバッグ、運転席・助手席ニーバッグ、シート内蔵サイドバッグ×2、ドア内蔵ヘッドバッグ×2)を標準装備しています。
最高出力420kW/571ps AMG 6.3リッターV8エンジン。
新型SLS AMGロードスターの心臓部は、メルセデスAMG独自開発のハイパフォーマンスエンジンが搭載されます。この6.3リッター自然吸気V8エンジンは、最高出力420kW/571ps(6,800rpm)と、このクラスのスポーツカーとしてトップクラスのパワーを誇ります。また、軽量ボディによりパワーウェイトレシオは2.9kg/PSを達成しています。さらに最大トルクは650Nm(4,750rpm)を発生し、0~100km/h加速は3.8秒、最高速317km/h(リミッター作動)というクーペと同等の性能を実現しています。
排気量6,208ccのこの高トルクV8エンジン「M 159」は、高性能レーシングエンジンに
匹敵するほどのエンジンです。
気流を最適化し吸気効率を高めたマグネシウム製インテークマニホールドシステムや、よりきめ細かい制御を行なう可変吸排気バルブ/カムシャフトコントロールシステム、等長エグゾーストマニフォールド、エグゾーストシステムのスロットル小径化などにより、ベースとなったM156エンジンよりもシリンダー充填が大幅に改善され、最高出力は9%近く向上するとともに、全回転域でのスロットルレスポンスも大幅に向上しました。(スロットル全開まで0.15秒)また、ドライサンプのエンジンオイル潤滑方式を採用し、エンジン位置をこれまでよりずっと低くすることで、高速コーナリング時においても安定的なオイル供給が可能になりました。この結果クルマの重心が下がり、許容される横方向加速度が増し、ダイナミックなハンドリングを実現しました。
軽量構造と環境性能の両立
高出力にともなうエンジン負荷には、高強度コンポーネントを採用することで対応しています。鍛造ピストン、強化型クランクシャフトベアリング、最適化したクランクケース構造の採用に加え、オンデマンド型高性能オイルポンプによる潤滑の改善によって最大限の安定性が実現しました。しかし、こうした対策を盛り込んだにもかかわらず、M 159エンジンはさらなる軽量化を図っています。特に重要な役割を果たしているのが、振動マスとなる鍛造ピストンの採用です。これにより、エンジン乾燥重量205kg、エンジンパワーウェイトレシオは0.36kg/PSと、競合エンジンを大きく引き離しています。また、最新の触媒コンバーターにより、EU 5、LEV 2、ULEVなど、現行および将来実施予定の排出ガス基準にも適合しています。
大胆な燃費目標を達成
SLS AMG ロードスターは、妥協を許さぬスポーティな性格を持ちながらも、SLS AMG と同レベルの燃費性能を達成しました。NEDC総合燃費は13.2リッター/100km(約7.6km/L*)と、クラストップの燃費効率を実現しています(*EU仕様参考値)。 AMG独自の低フリクションLDSシリンダーボアライニングや、特性マップ制御によるオイル供給、高度なジェネレーター管理などの効率改善対策をSLS AMGと同じく導入しました。また定速走行時やブレーキング時の運動エネルギーを電気に変換しバッテリーを充電する回生機能により、運動エネルギーの無駄なロスを防いでいます。また、加速時にはジェネレーターが負荷なしで起動し、エンジンの負担を軽減しています。
トルクチューブを備えたトランスアクスル式デュアルクラッチトランスミッション
AMG 6.3リッターV8エンジンの強大なパワーのリアアクスルへ伝達には、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)レースのC ドライブシャフト(約4kg)が採用されており、鋳造モノブロック構造のアルミニウム製トルクチューブ(約25kg)を用いて、エンジンハウジングからリアアクスルに搭載されたメルセデス初採用のデュアルクラッチトランスミッション(トランスアクスル)に接続しています。このメリットは、エンジンとトランスミッションとの間が高剛性リンクとなることにより、発生する力やトルクに対するレスポンスが最適化されることにあります。
AMGスピードシフトDCT 7速デュアルクラッチトランスミッションは、シフト時間最速100ミリ秒まで高速化され、トラクションが途切れない素早いギアチェンジを実現しています。また、ドライブモードはC(コントロールエフィシェンシー)、S(スポーツ)、S+(スポーツプラス)、M(マニュアル)の4つの異なるモードを備えるほか、RACE START機能も搭載しています。S、S+、Mの3つのモードでは、自動ブリッピング機能が働き、AMGドライブユニットシステムのトルクレギュレーターにより管理されます。さらに、コンパクトなトランスミッションケースに一体化した機械式LSD(リミテッド・スリップ・デファレンシャル)により最適なトラクションを実現します。
ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用した高度なサスペンションレイアウト
フロントミッドシップエンジンとトランスアクスルレイアウトを組み合せるこの方式の採用によって、前後重量配分比は47:53という理想的な値となりました。エンジンをフロントアクスルの後ろに置くことで、正確なステアリング特性と最高水準の俊敏性、急激な方向転換時の低い慣性、すぐれたトラクションなど、卓越した運動性能が可能となりました。4つのホイールの支持には、フォーミュラ1などのレースでも実績を上げた、トラックロッド付きダブルウィッシュボーンを採用しています。ダブルウィッシュボーンサスペンションではホイール支持とサスペンション機能はたがいに分離しており、スプリング/ダンパーストラットをロアウィッシュボーンで支えています。キャンバー変化が少なくロードホールディング性能の高いこのダブルウィッシュボーン方式は、弾性運動を最小限に抑えつつホイールを制御するとともに、限界に近い走行状況においてもドライバーに最適な接地感覚を伝えます。
ウィッシュボーンとステアリングナックル、前後のハブキャリアは、100%鍛造アルミニウム製とすることでバネ下重量を大幅に軽減するとともに、サスペンションのレスポンスを大幅に高めました。ホイールベースが2,680mm*と長いことから、すぐれた直進安定性が確保されるとともに、ホイールの荷重移動が小さくなり、これによって加減速時のダイブやスクワットが大きく低減されています。また、トレッドを広く取ったことで(前1,682mm*、後1,653mm*)、コーナリング時の内輪から外輪への荷重移動が軽減され、高いグリップ力を保ち続けることができます。(*全て欧州仕様参考値)
AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション
SLS AMGロードスターには、標準のAMGスポーツサスペンションに加え、減衰性能をボタンひとつで調節できる新開発AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション(電子制御ダンピングシステム搭載)をオプション設定しています。AMGドライブユニットシステムのボタンを操作することで、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツプラス」の3つのサスペンションモードから減衰性能を選択することができます。選択されたモードはインストルメントクラスターに表示されます。
「コンフォート」はソフトな減衰性能によりレスポンス感度が高くなり、「スポーツ」モードでは、走行状況に応じてダンパーが硬めになります。これは、接地性が改善するとともに、ボディロールやピッチの抑制にも効果を発揮します。「スポーツプラス」は、サーキットでラップ計測を行うのに最適なモードです。減衰力を高めるとともに、平滑な路面での純粋にスポーティな走行専用に特別に開発した制御アルゴリズムを使用しています。
ダイレクトなステアリング、リミテッドスリップデフ、3ステージESP®
ラック&ピニオン式ステアリングは13.6:1の固定ギアレシオとし、スーパースポーツカーに求められるダイレクトなステアリングフィールをつねに提供します。車速に応じてアシスト量が変化するパラメーターステアリングにより、速度が上がるにつれてドライバーへのフィードバックを高めます。これは高速での直進走行時にきわめて重要な要素となります。ステアリングギアはエンジンの前側、フレームタイプのインテグラルサポートにマウントされており、またエンジンの搭載位置を低くすることに貢献しています。ボタンひとつで”ESP ON”、”ESP SPORT”、”ESP OFF”を切り替えることができる3ステージESP®は、“ESP OFF”モードの場合でも、ブレーキペダルを強く踏み込むとESP ®のすべての機能が有効となります。
アクセレレーション・スキッドコントロール(ASR)のトラクションロジックは、3つのESP®モードすべてで動作します。センサーが駆動輪を常に監視し、いずれかが空転しそうになると適切なブレーキ圧を加え、もう一方の駆動輪のトラクションを大幅に改善します。また極めてダイナミックな走行時のトラクションの確保には、標準装備の機械式多板LSD(リミテッドスリップディファレンシャルロック)も大きく貢献し、エンジン出力の路面への伝達効果を高めます。
AMGハイパフォーマンス・セラミックコンポジットブレーキ
新開発「フローフォーミング」ホイール
ブレーキにはAMGハイパフォーマンスコンポジットブレーキを採用しています。フロントに6ピストンキャリパー、リアに4ピストンキャリパーと鋳鉄製ドリルドベンチレーテッドディスク(フロント:390mm×36mm/13.5kg、リア:360mm×26mm/10.6kg)を組み合わせ、非常に大きな負荷の下でも制動距離を大幅に短縮します。またオプション装備として、より大径のディスクを備えた新開発セラミックコンポジットブレーキシステムを設定しました。このセラミックブレーキは、1,700℃の高温で真空強化処理され硬度が高められていることから、高温でもよりすぐれた安全性を約束するほか、重量も約40%低減されています(フロント:402mm×39mm/7.9kg、リア:360mm×32mm/6.5kg)、バネ下重量の低減により、ハンドリング特性の向上、とりわけ高速コーナリング時にとくに効果を発揮します。
ホイールについても軽量設計をとくに重視し、新開発「flow forming(フローフォーミング)」技術により重量を最適化したAMGアルミホイール(フロント:9.5×19インチ、リア:11.0×20インチ)を採用することで、バネ下重量の低減と、ハンドリング特性およびサスペンションの快適性の向上を図りました。ホイールは、標準装備のAMG 7スポークアルミホイールに加え、5ツインスポークホイールと10スポーク鍛造ホイールをオプション設定しています。また、タイヤ(前265/35R19、後295/30R20)はSLS AMG専用に開発したもので、最高水準のグリップ性能を発揮します。